院長

2020年11月8日

取れましたね

眼の中に入った異物の訴えでこなり眼科を

初診したBさん

一目見ただけで異物の存在が分かりました
 

 
片眼の角膜に真っ白な何かが張り付いています
 
大きさは3~4ミリ径くらい
 

 
「3年くらい前からあるんです」
 

 
「え~なんだろう。ちょっと診せて」
 

 
顕微鏡で見るといかにも硬そうな
 
石灰化した何かのように見えます
 

 
「ちょっと取ってみますか」
 

 
すぐに点眼麻酔をしました
 

 
「取るのは非常に難しくて、大変な手術になると
 
言われていたんですけど」
 

 
「そうかな、取れそうだけど」
 

 
顕微鏡で覗きながら眼軟膏を付けた
 
綿棒の先でそっと擦ってみました
 

 
「取れましたね」
 

 
「へ、本当に??」
 

 
「ほらこれ」
 

 
摘出した白い塊をBさんに見せました
 

 
「ウソみたい。こんなに簡単に取れるなんて」
 

 
「ほんとですね」
 

 
「今までの3年間は何だったのかしら?」
 

 
「何だったんでしょうね^^;」
 

 
「ものすごく嬉しい。先生ありがとう!」
 

 
「いえいえ」


 

 

 
ふと大昔、同じような症例に出会った記憶が蘇って来ました
 

 
出張先の病院でのこと
 

 
小さな男の子の角膜に昆虫の硬い羽根が
 
張り付きめり込んでいました
 

 
瞳孔にもかかっており、弱視になってしまっている可能性もありました
 

 
なんとか取り出さなきゃ、と思ったのですが
 
診察だけでも泣いて大暴れ
 

 
とても角膜に触れることはできそうにありません
 

 
しばし悩んだのち、大学の医局に相談し指示を仰ぎました
 

 
「お前には取るのは無理だ。○○総合病院に送れ」
 

 
結局自分では何もできなかったのでした
 

 
医者になって2年目(だったかな)のことです
 

 
あの子はどうなったかなあ^^;